ブティ
その名、
最近日本でも聞かれる様なったことと思います。
フランスの伝統的なキルト、その歴史は500年とも600年とも言われますが、実際南フランスを中
心に盛んにもてはやされたのは17世紀の終わりから19世紀といえます。
ブティその名の由来、 そして発祥の地に由来にはいろいろな説がありま
す。発祥は600年も昔にイタリアのシシリ-島とか。
BOUTIS フランス語的由来には、emboutis
= 膨らませるとか、詰めるとか… 南仏のマルセイユ近辺で使われた金属の針のような道具の名前から来ているとか。数年前友人でインド人のハシミール(ち
なみにハシミールはインド大使婦人)との会話でなぜか歴史のロマンを感じさせられる一言、「ブティというのはインド語で花のことなのね。」そう、南フラン
ス、古くから第一の国際港、マルセイユは当時アジア中近東からの宝物、香辛料などの上陸地、そしてその中には多くのテキスタイルが含まれていたと言うこ
と。はたしてこの説が語源かどうかは定かではないにしても… 何百年もの布帛のロマンスのようでひどく感激したものです。
当時インドの染色技術は
段を越えて発達しており、コットンプリントの華やかさは当時フランスを中心にヨーロッパの上流階級女性をとりこにし流行となり もてはやされました。
と
ころが、18世紀中旬イギリスによる輸入の妨害とフランス繊維業界を守るため、布帛の輸入ができなくなり、マルセイユ繊維化工業に影響を及ぼしそれらのマ
ニファクチュア(マトラッセ、ブティもこの中に属していた)は解散されてゆき、それを機会にお針子たちはそれぞれの田舎(プロヴァンサル地方)で取得した
技術を生かしてゆくことになったと言うことです。
ブティ
は二枚の布を柄に沿い縫い取りそのひとつひとつの柄に膨らみを出すため、コットン糸を詰めてゆくもので、出来上がったものは、日の光に透かすと透明感があ
るものです。現在、商業的宣伝により、(インド製や中国製のトラプントのベットカバー)フランスでも一般にブティという言葉を、マトラッセ(ドミットわた
を挿んだいわゆるトラプント)をも含めて呼んでいる傾向にあり、一般的には混同されている実情があります。
ブティは当時、主に嫁入り支度のための
ベットカバー(この多くはクートポワンといわれてベットの足元にはすにかけられたもので正方形が多い)、ペタソン(赤ちゃんを抱くときに包む様にお尻に当
て主人などの服の汚れをふせぐのに使われた、オムツが今のように発達してなかったため。)、ジューポンドマリアージュ(いわゆるお嫁さんのペチコート、と
いってもウエディング用ということではなく、しっかり使用されていたようです。)この様な3つのオブジェがブティの代表的なものです。この様な作品は当
時、上流界級の家族はプロのアトリエで、一般的な家庭では家族のものの手で制作されたようです。
フランスでも日本同様嫁入り支度の箪笥を準備した
ようです。そんなブティのほとんどは白いコットン地で作られている。多くの柄には縁起柄とでも言うような意味合いがあり、家族の花嫁にかける気持ちがうか
がえます。
現在
数人の先生たちの指導によってこの手法が少しずつ受け継がれています。ここ10年来の流行(既製のトラプントも含めて)により見直されてきた様で、何冊か
の美しい出版物がそれを物語っています。そして数年前にできた美術館メゾン ド ブティ はその代表ともいえるでしょう。フランスではこの伝統手工芸を
守っていこうという動きが静かに広がりつつあるようです。
また私は古布が好きなのでオークションに行くこともありますが最近ではアンティックの物
は時代と保存状態にもよりますがかなり高価な値がつけられるようになりました。
私のホームページのブティックのなかで紹介している本の著者、アン
ドレ ジャン カバネル氏のコレクションは素晴らしく(おそらくフランス一のコレクション)数年前にアルザスのプリント美術館で行われた特別展は今でも思
い出されます、ちょうどこの本を出版なさった時でお会いできたのは感動ものでした。
現在本格的なブティを量産している会社はほとんど少なくまれに
中国、インド、マダガスカル で作られた物が見られますが、あまり手間のかかる手工芸なので量産には高価になり、なかなか割に合わないようです。
種別
しますと、
・ピキュ-ル ドマルセイユ、ブロドリ ドマルセイユ、=ヴァミクュレ、と呼ばれるものは、ブティの中でも、より繊細で透明感のある表
現法ヴァミキュレと呼ばれる(建築用語で石の彫刻柄=虫が食い進めた後のような柄)ミミズとでも、そううめんとでも柄とでも言いますか、この手法は比較的
古いものに見られ縫い取りに本返し縫いが使われている。そのエポックのものではコルセビスチィエがみられる。線により柄が表現されています。
ほと
んどが透明感のある薄い白い布で仕上げられている 中にはインディゴのつめ糸を使われた物も見られる。多くは17-18世紀の比較的古いものにこのテク
ニックが見られる。
・ブティ、柄に沿って多くは平縫いで縫い取り柄ごとに一つ一つ詰め物をした一版的に白いバチストと言われる上質のコットンで作
られ上記のヴァミキュレより柄に盛り上がりがあり華やかで意匠的である。ク-トポワンドマリアージュ ジュ-ポンなどがこの手法で盛んに作られたのは
18-19世紀となる。
・ピケプロヴァンサル、 マトラッセ ド マルセイユ これはブティとは呼ばれませんが歴史的にブティと同様好まれて作ら
れました。使われた柄はブティよりはだいぶ大柄で今で言うトラプントの手法となりますが、プロヴァンスのキルトのなかでは重要な位置を占めています。ブ
ティとおなじ時代に作られたこれらのものはインデアンと呼ばれる型染めの美しい花柄の生地でできたものがあったり.ブル-インディゴの型染めのものは興味
深いものです。これらはソレアド美術館で美しいものがみれます。
